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認知症に備える相続・遺言対策について解説

近年、高齢化の進展に伴い認知症患者数は増加の一途を辿っています。認知症になると判断能力が低下し、財産管理や相続に関する重要な意思決定が困難になるケースも少なくありません。

そのため認知症になる前に相続や遺言に関する対策を講じておくことが重要です。当記事では、認知症への備えとなる相続・遺言対策について詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてください。

認知症と法律行為の関係

認知症によって判断能力が衰えると、法律行為(サービスへの申し込み、契約締結など)を遂行する能力に影響が出ます。単独で有効な法律行為ができなくなる可能性が高まり、相続や遺言に関する手続きにも大きな影響が出てしまうでしょう。

 

仮に、認知症によって「判断能力を喪失した」と法的に評価されてしまうと、その方は1人で贈与契約を交わすこともできなくなり、遺言書を作成することもできなくなってしまいます。

 

このとき、成年後見制度の利用によって当人を法的に支援することはできますが、同制度が目的としているのは当人の権利・財産を守ることです。そのため財産を減らすことになる贈与をすることは基本的にできません。また、遺言書の作成は一身専属的な法律行為ですので、これを代理することもできないのです。

 

判断能力の有無、遺言能力の有無を評価するのも簡単ではありませんが、医師による「認知症である」との診断結果は、判断能力の喪失・低下を裏付ける重要な情報となります。

認知症に備える事前対策

認知症になってからでは対応が困難なため、判断能力があるうちに必要な対策を講じることが重要です。特に、財産管理や相続に関する意思を明確にしておくことは将来のトラブルを防ぐために有効といえます。

財産の現状把握と記録

今後のさまざまな対策について検討するためにも、まずは財産の現状について正確に把握しましょう。

 

そこで、預貯金や有価証券、不動産、保険のことなどすべての資産を洗い出し、一覧にしてまとめることから始めます。借金など負債に関しても必ず忘れず記録しましょう。

 

また、いったん一覧表などにまとめた情報も定期的(たとえば半年に1回など。)に見直すことが大切です。税理士やファイナンシャルプランナーなど、専門家に相談しながら資産管理を進めていくとより良いでしょう。

相続についての家族会議

認知症が関わる相続問題では、家族間の対立が深刻化するケースも少なくありません。そうならないためにも、判断能力が十分残っているうちに当人も交えて家族会議を行っておきましょう。

 

その場では、相続に対してどのような認識を持っているのか、支障がなければ財産承継についての方針なども共有しておきます。遺言書を作成しておけば反対する人物がいたとしてもその通りの遺産分割が実行できますが、人間関係が悪化するおそれもあるため、前もって話し合いをしておくことが推奨されます。

公正証書遺言の活用

早めに遺言書を作成しておくことで、遺言能力の有無を争点とするトラブルを防ぐことができます。また、「公正証書遺言」として作成しておくとより安全性を高められます。

 

公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言書のことで、遺言者自身が作成する自筆証書遺言とは異なり、作成手続きに直接的に公証人が関与します。公証人は法律のプロですので後々「遺言能力はなかった。」などと言いがかりをつけられるリスクも低減させられるでしょう。

 

さらに、公正証書遺言であれば相続開始後の検認と呼ばれる家庭裁判所での手続きが不要で、相続人に手間を煩わせることもありません。原本も公証役場で保管されますので安心です。

任意後見制度の活用

判断能力があるうちに、任意後見契約を締結して任意後見が始められるように備えておくのも良いでしょう。

 

任意後見とは、信頼できる第三者を任意後見人として指定し、本人と契約を交わすことによって開始される成年後見制度の一種です。後見・保佐・補助などの法定後見制度とは異なり、本人の意思で代理権の内容を自由に定められるという利点があります。

 

もし特定の人物に特定の行為についてサポートをしてほしいのであれば、任意後見制度も活用すると良いでしょう。

家族信託の活用

「家族信託」の仕組みを活用することで認知症対策とすることも可能です。

 

要は家族・親族内でする民事信託のことです。成年後見制度の活用とも少し似ていますが、主に財産の保護や法律行為の支援であるなど成年後見制度が消極的な支援制度であるのに対し、家族信託は積極的な支援制度であるともいえます。

 

というのも、家族信託では投資であるなど、リスクを伴うより積極的な財産運用まで任せることができるためです。もし、所有する財産に賃貸用の不動産や投資用の株式などがあるのなら、家族信託によってこれらの財産についての運用・管理を任せることも検討すると良いでしょう。

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    東京司法書士会(登録番号3502)

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  • 経歴

    平成10年  早稲田大学 法学部卒業

    平成12年  司法書士試験合格、三鷹市の司法書士事務所に勤務

    平成14年  司法書士登録

    平成16年  簡裁代理関係業務認定

    平成22年  いつき司法書士事務所開業

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