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遺言書の保管方法を解説|自宅・貸金庫・公証役場・法務局での保管について

遺言書を作成するときは無効とならないよう気を付けないといけません。そして作成するだけでなく、保管場所についてもよく考えなくてはなりません。

 

適切に保管ができていないと、期待通りに遺言が実行されないリスクが高まってしまうからです。ここではよくある保管場所について取り上げ、それぞれの利点や問題点などを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

公正証書遺言は公証役場で保管

遺言書にも種類があります。

 

「公正証書遺言」と呼ばれるタイプは、遺言書を、公証を受けた公正証書として作成したものです。公証役場で手続を行い、公証人に文書を作成してもらうことで完成します(遺言内容は本人が考える)。

 

そして公正証書遺言の場合、原本が公証役場で保管することが決まっています。そのため保管場所について悩む必要がありません。紛失、改ざんなどのリスクもなく、安心して過ごすことができるでしょう。

※保存期間も、実務上「遺言者が亡くなってから50年」「作成後140年」または「遺言者の生後170年」は保存する運用になっている。

自筆証書遺言または秘密証書遺言の保管方法

公正証書遺言のほか、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」という遺言書の種類もあります。これらの場合は保管方法についての指定がなく、好きなように保管してかまいません。そこで保管場所として以下が挙げられます。

 

  • 遺言者の自宅
  • 親族や友人宅
  • 銀行の貸金庫
  • 司法書士などの専門家

遺言者の自宅

遺言書を自宅で保管する場合、手軽で費用もかかりませんが、紛失、盗難、改ざんなどのリスクがあります。また、遺言者が亡くなってからも遺言書が発見されない可能性もあります。

 

これらの問題への対処として、以下の点に注意して保管しましょう。

 

  • 金庫に入れて簡単に持ち出せないようにする
    ※金庫など、他人が簡単に取り出せない場所に置いておくことで、盗難や改ざんなどのリスクを低減させられる。
  • 信頼できる方に遺言書の存在を伝えておく
    ※改ざん等の問題を回避しつつも、相続開始後遺言書が発見されない可能性を下げるため、信頼できる一部の方にのみ遺言書の存在を伝えておく。
  • エンディングノートも作成しておく
    ※遺言書には法的な拘束力があるため金庫等に厳重に保管し、財産争いなどに関与しないエンディングノートに遺言書の存在を記し、発見されないリスクを低減する。

親族や友人宅

遺言書は、親族や友人宅に保管してもらっても法的な問題はありません。

 

自ら保管しないことで、発見されない問題を避けやすくなります。身近な方に持ってもらえば、亡くなったことを知った段階ですぐに相続人と検認※を始められます。

※家庭裁判所で遺言書をチェックする手続。

 

ただし、「保管者に負担がかかる」「紛失・改ざんのリスクがある」という問題は残ります。

 

遺言書という非常に重要な文書を保管することには大きなプレッシャーがかかりますし、後で相続人から「都合の良いように書き換えたのではないか」などと言われる可能性もゼロではありません。特に保管者が相続に利害関係を持つ者だと疑われるリスクが上がり、実際に改ざん等が行われるかもしれません。

銀行の貸金庫

銀行の提供する貸金庫サービスを使えば、より安全に遺言書を保管できます。

 

自宅や友人宅等に保管する場合に比べて紛失や改ざんなどのリスクは大幅に下げられ、長期的にも安心して預けることができるでしょう。また、「遺言書を作成したことを誰にも知られたくない」という場合にも適しています。

 

ただ、①費用がかかること、②発見されない可能性があること、の2点がデメリットです。

 

保管期間が長くなるほどトータルの費用は大きくなりますし、貸金庫を使っていたことを伝えていなければ遺言書を見つけてくれない可能性もあります。

司法書士などの専門家

遺言書を保管するサービスに対応している専門家もおり、例えば司法書士などの士業に依頼できるケースがあります。

 

この場合は費用面がネックではあるものの、比較的安全に保管してもらえますし、「遺言書の作成から保管まで一貫したサポートが受けられる」という利点もあります。

 

もちろん、保管まで対応してくれる専門家であることが前提ですが、仮に司法書士であれば遺言書の作成方法に関して法的な観点から助言ができます。遺言書は民法に従い厳格に作成されなければ無効となってしまいますので、このようなリスクを避けたい方に向いています。

 

なお、遺言書の作成についてのみサポートを受け、別の保管方法を選択することももちろん可能です。

自筆証書遺言なら法務局でも保管可能

自筆証書遺言でも、公正証書遺言のように公的な機関(法務局)に保管してもらえるようになりました。

 

所定の手続を採り、費用を負担すれば、紛失・改ざん・未発見の問題を解決して安全に保管することが可能となります。

 

法務局で保管してもらう場合の手続等

保管までの手続

・遺言者自身で自筆証書遺言を作成する。

・管轄の法務局で予約を取り、本人が直接申請する。

・申請書と添付書類、本人確認書類(マイナンバーカード等)を準備する。

・死亡時に遺言書の保管について通知する方を、1人指定する。

保管等の費用

・保管の申請:3,900

・遺言書の閲覧

1,400円(モニター閲覧)

1,700円(原本の閲覧)

・遺言書情報証明書の交付:1,400

※遺言書の画像情報が表示されるため、遺言内容の証明書となる。

・遺言書保管事実証明書の交付:800

※遺言書が保管されているかどうかを証明するもの。

相続開始後の通知

・相続人等は遺言書の証明書の交付や内容の閲覧を、全国の法務局に請求できる。

・遺言者が指定した人物1人に対して、遺言書が保管されていることが通知される。

・相続人等の1人が「遺言書の証明書を取得」や「遺言書の閲覧」をすると、遺言書が保管されている事実が他の相続人等に通知される。

 

なお、保管にあたっては審査がありますが、遺言書の外形的な審査のみであって遺言の有効性にまでは踏み入れません。遺言が無効になるリスクはそのまま残ってしまうため、不安がある場合は作成に関して司法書士等のサポートを受けておくと良いでしょう。

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  • 経歴

    平成10年  早稲田大学 法学部卒業

    平成12年  司法書士試験合格、三鷹市の司法書士事務所に勤務

    平成14年  司法書士登録

    平成16年  簡裁代理関係業務認定

    平成22年  いつき司法書士事務所開業

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